日向の国の備長炭 奥井製炭所 紀州備長炭、土佐備長炭と並ぶ三大備長炭の産地、日向。日向の国、宮崎県の宇納間で備長炭を焼いています。お問合せは domasama8080@gmail.com

火鉢の欠点

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少し前のことになるけれど、朝日新聞の「社説余滴」欄に、
「電気さん、ありがとう」という文章が掲載された。(2013年7月11日)

社会社説担当の稲垣えみ子記者が、「誰でもできる個人的脱原発計画」、つまり月の電気代を半減させる挑戦の過程で、
気づいたことについて書いたものだ。

徹底した節電を実行するにあたって、暖房に火鉢を導入したそうだ。

「驚くほど手間がかかり、しかも全く暖かくない。だが凍える朝、必死に炭をおこす期待感と、火がついたときの
喜びといったらない。これって、むかし学校で習った清少納言の世界?」

使ってくださる方が喜んでくださる炭を焼こうと努めている炭焼きとしては、こんなふうに書かれると、とても悲しい。
しかも彼女は「がまんこそ面白い」ことの実例として、火鉢を挙げているのである。

がまんしないで、楽しく使ってくださーい、と大声で言いたい。


まず、「全く暖かくない」と断定するなら、せめて、どのくらいの広さの部屋で、どのくらいの大きさの火鉢で、
炭はどんな種類のものを、どのくらいの量を火鉢にのせているのか、など具体的な内容を記してほしかった。
先日も書いた通り、火鉢は暖かいのだ。

ただし、使い方による。

「全く暖かくない」のだとしたら、まず考えられるのは、部屋の大きさに対して、火鉢が小さすぎるということ。
あるいは、稲垣記者がエアコンや灯油ストーブと同じように、部屋全体を暖める機能を火鉢に期待しているのかもしれない。
火鉢は部屋全体を暖めるための暖房器具ではなく、その周囲を暖める暖房だから、それは難しい。
「暖かくない」と言われても仕方ない。
よほど大きな火鉢で、キャンプファイヤーのように炭を熾せば別だけれども。

また、火鉢の種類も気になる。

陶器製の火鉢だと、火鉢自体が熱くなるので、手は炭にかざし、身体は火鉢に寄せて、という具合に暖をとることができる。
長火鉢は木製なので、火鉢自体が暖かくなることはない。

それから、どんな炭を使っているか、その炭を灰の上でどんなふうに組んでいるか、そんなことも大切。
炭の組み方で火力は全然違ってくるのだ。
立てるようにして、空気の通り道をきちんと作ってやると、よく燃える。

それから、「驚くほど手間がかか」ることについて。

そりゃあ、スイッチひとつでポンと火はつかないし、温度設定もできない。
暖かさを保ちたいなら、折を見て、炭についた灰を落としたり、新しく炭を足したり組み直面倒を見なくてはいけない。
ただ、これらの手間は慣れてしまえば、手間とも感じなくなるはずだ。
最初のころは「折を見る」ことができないので、大変と感じる人は感じるかもしれない。


私たちは毎朝炭を熾すのは面倒くさいので、寝る前、火鉢の灰に炭を埋け込んでおくけれども、
彼女はどうしてそうしないのだろう。
熾った炭を埋けるとき、新しい炭を一緒に埋けておくと、朝、その炭も真っ赤に熾って出てくる。

炭を埋けることができるほど、火鉢が大きくないからだろうか。
あるいは、埋けている間にも炭は少しずつ燃えているので、それをもったいないと感じるからだろうか。

うちの場合、炭を埋けた後、火鉢に大きな網をのせ、その上に水の入ったやかんを置いておくと、朝には熱めのぬるま湯になっている。

そういうこともできるけど、それでももったいないかな?

夜、埋け込むときに、炭が少し顔を出すようにしておいて鍋をのっけておけば、
スープでも煮ものでも、朝にはできている。

そういうこともできる。
ただし、これは火鉢と炭の扱いに慣れて、加減を掴まないと難しい。


結論。

火鉢は暖かい。使い方に慣れ、暖かく使う方法を身につければ。
火鉢は面倒くさくない。使い方に慣れれば。

この使い方に慣れれば、というのがミソで、火鉢の欠点のひとつだ。
誰でもすぐに上手に使いこなすことができるわけではなく、お稽古が必要なのです。
近所のおじいさん、おばあさんたちは、炭の扱い、灰の扱い、炭の熾し方、何をとっても適切で優雅で、見とれます。

毎日毎日使っていれば、私たちもあんなふうになれるかしらと、期待しているのですが、どうでしょう?
少なくとも私はガサツだからな。


注)火鉢をお使いの際は、換気をしてください。
また、炭を埋めておくときは、地震が起きて火鉢が倒れたり割れたりしたときでも、火事が起こらないような場所に、火鉢を設置してください。

(妻)


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Commented by 油屋さん at 2013-11-04 22:26 x
O家のお二人様

ちょっと寂しい記事ですね、文明の利器に慣れてしまうと使い方がよく

分からん、火鉢一つで急速に部屋が暖まる訳がない!!。

まあ、都会の人の戯言だと思えば腹も立ちません。
Commented by binchosan at 2013-11-05 21:42
本当に使い方次第なんですよね。

山菜の料理の仕方を知らないがために、この山菜まずい!!って言っているのと

同じことですもん。本当は美味しいのに。

手間はかかるけど。

Commented by ayahimuka at 2013-11-07 19:07
こんにちは。日向のアヤヒムカ、松本です。今日はありがとうございます! とても楽しいお時間を過ごさせていただきました。炭の世界もとても奥深そうで、ブログを拝読すると勉強になります。それと木村さんにはメールでお伝えさせていただきました。今後ともどうぞよろしくお願いします。
Commented at 2018-09-26 08:55 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by binchosan at 2018-09-26 19:38
わかな 様
コメントをありがとうございます。

灰に埋めていても火はついているので、換気は必要なのだろうとは思います。
ただ、マンションの広さや、どんな炭をお使いなのかなど条件によって、換気の頻度などは変わってくると思いますので、具体的にどうすべき、と申し上げることはできません。
お手間だとは思いますが、日中に火鉢をお使いになってみて、わかな様のお宅での換気の仕方をまず把握なさるとよいのではないでしょうか。
また炭問屋さんにご相談になるのもよいかもしれません。

このブログを書いた当時私たちが住んでいた家はとても古い家で、なおかつ広かったので、換気を気にしなくてすみました。
ブログにそのことを書いておくべきでした。
申し訳ございませんでした。
Commented at 2018-10-01 00:00 x
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by binchosan | 2013-11-04 21:35 | 炭・七輪・火鉢・薪ストーブ | Comments(6)