炭焼き職人になるということ その2
2015年 11月 02日
1年ほど前に炭焼きで食べていくことの大変な面について書いた。
そして、炭焼きの魅力をちゃんと語れるようになりたいとも書いた。
ちゃんと語れるようになるまでまだ時間がかかりそうなので、とりあえず思いつく断片をいくつか挙げておこうと思う。
一つ目。
備長炭を使い放題である。
でも売り物になるような炭をバンバン使っているところを炭焼きの先輩に見られると、「もったいない、金にしろ」と注意される。
炭焼きといえど、出荷できないような小さい小さい炭とか大きすぎる炭とかを使うのが常識なのだ。
先輩方は幼いころから炭を日常的に使ってきているので、火の熾し方、灰の落とし方、炭を継ぐタイミング、炭の組み方などなど、炭の扱いがとてもうまい。
七厘を使っている分にはベテランも初心者もさほどの差が出ないのだけど、火鉢の場合は差が出る。
七厘は空気が通るように作ってあるのに対して、火鉢はそうではないからだ。
先輩方は、話をしながらでも、絶妙のタイミングで炭を並べ替えて灰を落とし、炭がいつもきれいに熾っているようにする。
無駄な動きがなく、灰を周囲に飛ばしてしまうこともない。
炭火を穏やかに保ちたいときは、灰かきで灰をかいて炭を少し覆ってやる。
その手の動きの優雅なこと。
私たちが同じことをやると、大変にがさつで汚い。
私たちも優雅になりたいので、せっせと炭を使って練習している。
じゃあなんで売り物の炭を使うのかと聞かれれば・・・・・
いろんな炭を使ってみたいからかなあ。
炭を使うのはとても楽しい。
七厘で魚を焼くのもご飯を炊くのも楽しいし、火鉢に手をかざしているのも熾っている炭を眺めているのも楽しい。
家の中に火があるのっていいものだなあといつも思っている。
(妻)
by binchosan
| 2015-11-02 18:46
| 備長炭