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日向の国の備長炭 奥井製炭所 紀州備長炭、土佐備長炭と並ぶ三大備長炭の産地、日向。日向の国、宮崎県の宇納間で備長炭を焼いています。お問合せは domasama8080@gmail.com

さすらう

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「あの山はさすらうねえ」と言われたら、ああ、あの山は事故が多いんだなと理解する。
20年前にその山で作業をしていた人が怪我をして、10年前にも怪我人が出て、今年も怪我人が出た、そういう山があるのである。
「あの組は最近さすらうねえ」と言われたら、その組は最近、事故とか機械の故障とかが続いているということだ。
組というのは仲間とか会社とか、何かのグループを指す。

さすらうのは、もしかしたらご神木を伐り倒してしまったからかもしれない。
山にはご神木と呼ばれる木が生えていて、それを伐ってしまうと、何か良くないことが起こるらしいのだ。

「どの木がご神木か、山主さんしか分からないから、伐り始める前に山主さんに確認しておいたほうがいい」と言われたことがある。
ご神木というからにはきっと、一目でそれと分かる特別立派な杉とか檜に違いないと思っていたけれど、そうとも限らないのだそうだ。
目の前にたくさん生えている雑木の中の、1本ということもある。
でも全ての山主さんが、山を相続する際にご神木を教えてもらっているわけではないから、尋ねられても答えられない人だっている。
じゃあ、どうすればいいのか?
よく分からない。

「ご神木は、受けと反対方向に倒れるから、それと分かる。自分が実際にそういう体験をしたから、これは確かだ」と教えてくれた人がいた。
これは伐採してしまってから、ご神木と判明する場合の話。
この人は、ご神木を伐ってしまったと分かったので、すぐにやるべきことをやり、事なきを得たそうだ。
やるべきことというのは、お神酒を捧げて、心を込めて謝罪をするんだったかな?

ご神木の話だったか、武士だか誰かの霊が住処としていた木の話だったか、記憶が曖昧だが、ある人が知らずにその木を伐採してしまった話を聞いた。
それは立派な杉の木だった。
伐った後、脚がひどく痛むようになり、歩くのも困難になってしまった。
病院に行っても原因が分からず、困り果てて拝み屋さんのところに相談に行ったところ、伐ってはならない杉を伐ったせいだということが分かった。
そこで拝み屋さんの指示通り、お神酒を用意し、檜の苗木を植え、丁寧に謝罪すると、ようやく痛みが消えたそうだ。
杉を伐ったのに、なぜ檜を植えたのかというと、こういう場合、伐ってしまった木より格が上の木を植えなくてはいけないからだ。

これらの話はすべてこの何十年かの間の出来事で、もうチェンソーを使い始めている時期の話だ。
江戸時代の話どか、そんなに昔の話ではない。

この類の話は村で暮らしていると、わりによく耳にする。
何でも科学で説明できるとは思わないし、科学だけで説明できる世界はつまらないと思っているから、なるほどと思って聞いている。
遠野物語みたいだ。
迷信と表現されることもある世界の理解の仕方と、科学的な世界の理解の仕方と、その両方を行き来しながら、暮らせるのは面白い。



(妻)














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by binchosan | 2018-04-17 21:20 | 木伐り | Comments(0)